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名前を検索してしまう夜
これまでのこと
ときどき、昔の知り合いのことを思い出す夜がある。ふだんの生活の中では思い出すこともなくなった名前が、ふとした拍子に、波のように押し寄せてくることがある。 懐かしい土地のことを考えたり、若いころによく歩いた道を思い出したりすると、あのとき一... -
日本はなぜ「ハブ」になるべきなのか
これまでのこと
――東アジアの覇権構造と日本の現実的な生存戦略―― 今日は、少し大きな話を書いてみようと思う。経済の話から始まって、人口、国家経営、そして覇権国家と地政学の話まで、最近あれこれ考えていたことが、一本の線でつながってきた。 日本はこれからどうい... -
今日は静かな一日だった
今のこと
今日は、特別なことは何もなかった。いつも通りに起きて、いつも通りに一日を過ごした。 朝の空は少し霞んでいて、窓を開けると、冷たい空気が部屋に入り込んできた。コーヒーを淹れて、しばらく何も考えずに飲む。それだけで、少し気持ちが整う。 日中は... -
歳月の向こう側で思うこと
これまでのこと
時折、ふとした拍子に昔の出来事が静かに立ち上がることがある。忘れていたつもりでも、あるいは忘れたと思い込んでいただけで、記憶の底ではずっと呼吸をしていたのかもしれない。 若い頃の自分は、大切なことほど言葉にしないまま、結論だけを急いでしま... -
美しい思い出という “人生の灯り”
今のこと
ときどき、ふと胸の奥が温かくなる記憶がある。あれは遠い日の冬、伊豆へ向かう旅の途中で出会った風景や、静かな海、澄んだ空気、そして過ごした時間だ。 長い年月が経つと、出来事そのものは少しずつ薄れていく。でも、不思議なことに、心の深いところに... -
『平場の月』より ──生きているふり
今のこと
なるべくずーっとなんとかやってるように思わせたいじゃん彼女はそう言った 死を隠すためじゃない誰かの心に 希望を残すためだった約束を果たせない代わりに 祈りを残したかった 別れたことにしてもいいそれでも どこかで生きているように彼の世界を少... -
『平場の月』より ──あのさ、青砥
今のこと
あのさ――そのあとに続く言葉を彼女は胸の奥でほどいていたでも 彼は待てなかった言葉の方を先に出してしまったその一秒の間にふたりの未来はすれ違った月の光のように 静かに 青砥はその夜、須藤の沈黙の中にあった“最後のサイン”を見逃した。けれど、彼... -
朝倉かすみの中に流れる三つの時間
今のこと
──再会・待つ・老い── 人生の中で、同じ時間を生きていたはずの人と、いつのまにか遠く離れてしまうことがある。 思い出の中では、あの日のまま微笑んでいるのに、現実ではもう会うこともない。 それでも、人は心のどこかで、その人の幸せを祈りつづけ... -
『平場の月』──静かな再会の光
今のこと
朝倉かすみ『平場の月』は、中年になった男女が再び出会う、静かで深い愛の物語。 2018年の刊行以来、多くの読者の心に残り続けてきた名作です。 2025年11月14日には、映画『平場の月』が公開予定。 人生の後半を生きる人々の「もう一度、誰かを想う... -
思考する人が少数派になった時代に
今のこと
思考する人が少数派になった時代に 気づけば、ゆっくり考える人がめっきり減りました。すぐに検索し、すぐに答えを出す。そんな社会では、「考える」より「反応する」ことが評価されます。けれども、私たちが本当に生きていくうえで必要なのは、正解より...